鐘を鳴らして <3O

友人と行ったドライブで
可愛い公園をみかけた
観光スポットにもなっているそこは
日が沈む時間だからか
地元の子どもたちは遊ばない場所なのか
スケボーをする青年たちが居ただけだった
公園の遊具は木でできていて
てっぺんに鐘がぶら下がっていた
一本の木に登れるように足場の棒が刺さっていて
ちょうど電信柱のようだった
鐘が好きなわけでも
高いところが好きなわけでもない
けどそれを鳴らしたかった
滑るサンダルと風に浮くスカートと
無様なわたし
それを見守る友人は笑っていた
登りきると鐘を突くものはなく
思いっきりこぶしを押し当てた
カァァンカァァンと響く鐘
暮れる日を追い立てるように何度も叩いた
友人は笑っていた
わたしも笑った
公園でこんなことをするなんて
もうできない遊び
どこかの花火が上がったとき
鐘の音は聞こえず
夜が足元まで来ていた
音だけの花火に顔を向けて
もう、終わりの時間だった