行き先見つけ <30

時間がもったいない
そう言って走り出した
張り付いた前髪
よろめく足元
疲れて休む間に
追い越されるような気がして
切れた息が限界を告げる
それさえも無視して
がむしゃらに
ひたすらに、がむしゃらに
走り続ける

やりはじめたことを
後悔して
足を止めてしまいたくなって
だけど
そうしたら今までの
今現在までの頑張りが
全部消えてしまうような
意味を価値を持たなくなってしまうような
そんな恐怖が頭を過ぎる

疲れたもういやだもう十分だろう
誰に言っているのかも
わからないほど
なんで頑張っていたのかも
わからないほど
立ち止まったらもう走れないかも知れない
立ち止まったらもう
今までを壊してしまうかも知れない
ああ　頑張ったのに
こんなにも頑張ったのに

涙を落とし立ち止まる
それから静かに目を閉じる
今まで頑張った自分を休ませて
これからの自分を見てみたら
前より地面を踏みしめて
もっと走れる自分がそこに。